部下に仕事を教えているのに、なかなか育たない。
最初は丁寧に教えていたはずなのに、いつまでたっても自分で判断できない。
私も課長になったばかりの頃は、「仕事を教えること」と「部下を育てること」は同じだと思っていました。
しかし実際に部下を持って分かったのは、この二つはまったく違うということです。
仕事を教えるだけなら、やり方を説明してできるようになれば終わりです。
でも、部下を育てるというのは、自分がいなくても仕事が回る状態を作ることだと思っています。
この記事では、私が一人の部下を育ててきた経験から、「教える」と「育てる」の違いについてお伝えします。
仕事を教えることと部下を育てることの違い
一番の違いは、「答えを渡すこと」と「考えられるようにすること」です。
仕事を教えるだけなら、手順やルールを説明すれば済みます。
しかし部下を育てるには、状況が変わっても自分で判断できる力を身につけてもらう必要があります。
例えば、
- イレギュラーな対応ができる
- 問題点に気づける
- 改善案を考えられる
- 必要なときに相談できる
こうした力が身について初めて、「育った」と言えるのではないかと感じています。
最初は付きっきりで教えるしかない
その部下に仕事を教え始めた頃は、ほとんど付きっきりでした。
何をするのか。
どうやるのか。
どこが重要なのか。
一つひとつ確認しながら教えていました。
経験のない人に最初から「自分で考えてやって」と言っても、それは丸投げです。
まずは仕事を覚えてもらう。
これは上司の役割だと思っています。
ただし、ここで終わってはいけません。
育てるために必要なのは「少しずつ任せること」
仕事を覚えてきたら、少しずつ任せる範囲を広げていきました。
私が意識したのは、段階を作ることです。
最初はすぐ近くで見守る。
次に少し離れて見守る。
その後、一度任せて後から確認する。
いきなり全部を任せるのではなく、「できるようになった部分だけ任せる」を繰り返しました。
この方法に変えてから、部下は少しずつ自分で仕事を進められるようになっていきました。
今では、私が以前やっていた仕事の多くを任せられるようになっています。
部下に任せることの重要性については、「仕事ができる人ほど、仕事を抱え込まない|現役課長が部下に仕事を任せる理由」でも詳しく書いています。
部下が育ったと感じた瞬間
一番嬉しかったのは、自分から改善提案を出してきたことです。
最初の頃は教えられたことをこなすだけでした。
しかし仕事を覚えるにつれて、
「このやり方のほうが効率がいいと思います」
「ここを改善すれば取引先も助かると思います」
という提案をするようになりました。
実際にその改善で取引先から評価される結果も出ました。
このとき、「仕事を覚えた」のではなく、「仕事について考えられるようになった」のだと感じました。
任せられる部下には共通点がある
私が仕事を任せやすいと感じる部下には、一つ共通点があります。
それは、何かあったら必ず報告してくれることです。
「ここまでは自分で判断しました」
「ここから先は確認したいです」
この報告があるだけで、安心して任せられます。
逆に、一人で抱え込んで何も報告しない人は、どれだけ能力があっても任せにくいものです。
私は、「全部一人でできる人」よりも、自分で考えながら必要なときに周りを頼れる人のほうが、結果的に成長が早いと思っています。
私が一番反省していること
部下を育てる中で、一番反省しているのは、答えを先に言ってしまうことです。
部下が考えている途中で、
「答えはこれだよ」
と言ってしまう。
上司からすると、そのほうが早い。
仕事も止まりません。
でも、それは部下のためではなく、自分の都合だったと気づきました。
考える時間を奪えば、その場の仕事は終わっても、次に同じ問題が起きたときにまた聞かれることになります。
部下を育てるなら、少し待つことも必要です。
失敗しない程度に考えさせる。
その経験が判断力になります。
私が実践している教え方
今は、最初から細かく全部説明することはしていません。
まず仕事の流れを説明します。
そのうえで実際にやってもらいます。
すると必ず疑問が出てきます。
そのタイミングで教えるようにしています。
この方法だと、部下自身が
「何が分からないか」
を理解できるようになります。
私が意識しているのは、
教える → やらせる → 考えさせる → 質問させる → また教える
この繰り返しです。
最初から100%教え込むより、このほうが定着しやすいと感じています。
部下が育たないと感じたときに見直したこと
以前の私は、「教えれば育つ」と思っていました。
しかし実際には違いました。
振り返ると、育たない原因は私にもありました。
例えば、
- 教えすぎていた
- 任せる基準が曖昧だった
- 報告のタイミングを決めていなかった
- 考える前に答えを言っていた
こうしたことを見直してから、部下との関わり方が変わりました。
部下が育たないときは、部下だけでなく、上司の教え方にも改善点があることがあります。
部下が育つと上司の仕事も変わる
部下が成長すると、上司の仕事も変わります。
最初は教えることが中心です。
しかし部下が育ってくると、任せることが中心になります。
さらに、その部下が後輩を教えられるようになると、チーム全体の力が上がります。
実際に私が育てた部下も、今は後輩を教える立場になっています。
これは本人の成長だけでなく、チームにとっても大きな意味があります。
課長になると、自分が成果を出すことよりも、チーム全体の成果を上げることが求められるようになります。管理職になって役割がどう変わるのかについては、「仕事ができる人ほど管理職に向いている?課長になって分かった本当の違い」で詳しく解説しています。
部下を育てるとは「できる人を増やすこと」
課長になった頃は、仕事を覚えてもらうことばかり考えていました。
でも今は違います。
本当に大切なのは、自分で考えて行動できる人を増やすことです。
仕事を教えることはスタートラインにすぎません。
そこから、
- 自分で判断する
- 改善を考える
- 必要なときに相談する
- 後輩を教える
ここまで成長してくれたとき、上司として大きなやりがいを感じます。
部下を育てることは、自分の仕事を減らすことではありません。
一人でやっていた仕事を、チーム全体の力に変えていくことです。
それが、課長になって私が一番実感した「部下育成」の本当の意味でした。
部下育成は、一度教えれば終わりではありません。任せ方や関わり方を変えることで、チーム全体の力も変わっていきます。部下への仕事の任せ方で悩んでいる人は、「仕事ができる人ほど、仕事を抱え込まない|現役課長が部下に仕事を任せる理由」もあわせて読んでみてください。
管理職としての働き方やキャリアに悩んでいる人は、私が比較した課長向け転職エージェントおすすめ|管理職経験を活かして転職したい人へも参考にしてください。
